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私の闘病日記/その⑥  手術前の心境    

私が本来入院すべき病棟は脳外科なのですが手術前まではすぐとなりの呼吸器系の外科病棟に入院していましたので頻繁に来られる脳外科の主治医グループの先生方と私の会話を聞こえてしまう同室の患者さんのおば様達からは「本当に大変な手術をするのねえ若いのに根性あるわ~・・・」と感心されたり病棟の看護師さんからも「初めて聞く手術!」と言われて驚かれていました。

にもかかわらず先生方とはニコニコしながら余裕で会話が出来るほどなぜか既に私は覚悟を決めていたのか、まだ事の重大さを認識できず他人事に思っているのか自分でも驚くくらいに「ヒョウヒョウ」としていました。やっぱり本当に私は覚醒手術にワクワクしてきたのだろうか?(笑)
いずれにせよ私はこのような楽天的な性格で良かった。

 6月7日(月)

<麻酔科の先生の話>

ちょうど母と病室でケーキとコーヒーを食べている時に先生が来られて
「おっと、おやつタイムですね、後でまた来ましょうか?」と言ってくださったのですが「大丈夫です。今お願いします」と言ってケーキを食べるのを中断しました。

ここで私なりの覚醒手術の説明を簡単にします。
その手術はまず開頭するまで全身麻酔をして脳自体には痛みを感じるものはないので開頭した時点で麻酔を切るのです。腫瘍を切除中に私は起こされクイズのような問題を出す先生がすぐそばにいてそれを回答しようとする脳の機能のチェックと麻痺が予想されている手足が動くのかどうかの機能のチェックをするのです。そして閉頭する時にまた全身麻酔をかけて終了するのです。

私も初診の時からその話を聞いていて「そんな手術があるんですねえ」と驚いてしまいましたが、「痛くなければそれでいい」と思っていました。

「既に聞いての通りですが・・・」麻酔科の先生はその流れを改めて説明してくださり「その場合まれにパニック障害を起す人がいるんです(自分の置かれている状況がわかるので)手術中の記憶を消す麻酔をかけますか?」と聞かれた時にちょっと迷いましたが「ではその麻酔もお願いします」と言ってしまったことに後で後悔しました。手術はもう2度と経験したくないけどこんな貴重な体験の記憶を消してしまいたくないと思ったのです。

先生からこの説明を受けている時も緊張感が何故かなくてむしろやさしい目に癒されそうなまたは本当は面白い人だったりして・・・・なんて思うような先生でした。「私の手術は特殊で年に数回の手術と言われましたがそんなに大変な手術になるのでしょうか?」と聞くと「脳外科で行う手術は全て特殊で大変な手術です」と言われました。「確かに・・・」最後に説明が終わると「おやつタイムにすみませんでした。どうぞ続けてください」と言い残し立ち去って行きました。母と私の最初に思った感想は麻酔についてではなく「面白そうな先生だったね」です。

<手術前の家族説明>

執刀されるF先生の家族説明がナーススーテションの中で行われました。
後ろには主治医の先生がいらっしゃいました。

覚醒手術の説明の後の病理検査と後遺症について話してくださいました。
その時も確実に右方麻痺と言語障害が現われ細かい作業がしばらく出来なくなること
「では左方は大丈夫なのでしょうか?」と聞くと負担がかかるので大丈夫とは言えないらしく言語障害についても術後一週間は続くと言われました。(その状態になった自分がどう考えても想像出来ない)

脳腫瘍のグレードには4段階あり1,2は良性で3,4は悪性であり、開頭手術をして腫瘍を取ってから病理検査をしその腫瘍が良性か悪性かそして何の病名かがわかるとおっしゃっていました。

主治医の先生からは手術の際にまたは術後に使う薬の投与の確認と
私の手術をこれからの研究に役立てたい時の為に(それを承諾してもしなくても良いのですが)名前や顔も出しませんのでと同意書のサインを求められました。私はこれからの医学の発展の為にも使ってくださいという考えでしたのでサインをしました。

右方麻痺や言語障害が確実に現われると目の前で断言されても既に後遺症のことは何度も聞かされていましたのでそうなったらリハビリで頑張ろうという開き直りと「その時は看護師さんお願いしまーす!」という感じになっていました。

6月8日(火)
特に検査はなし。
主治医グループの先生方が来られた時に手術中にモニターを見ている人もいると言われ私は冗談で「覚醒手術中に手術台で自分のモニターを見ることはないでしょ」と言うと先生は「あはは、それはないですよ」と笑っていました。(後で思ったのですが、やっぱりモニターで自分の頭の中を見てみたかった。TVで開頭手術の本当の場面を見たことあるし、あの神の手の福島先生の番組でね)

髪の毛を坊主にするかどうかの話になった。
私はどうせ頭の手術をするのだから思い切って丸坊主のほうが良いしその頭になった自分も見て見たいと思っていました。(だって髪の毛はいずれ生えてくるのだしこういう機会じゃないと出来ない頭だし)先生方は女性だからなるべく髪の毛で傷をかくすようなヘアスタイルにもしてくださるようですが・・・・・

消灯前ギリギリになって看護師さんから「今、先生からの指示で全剃ということになりました」
と言うことで看護師さんがバリカンであっという間にカットしてくださり鏡をみると
「うわあ~お坊さんになっちゃったあ」と不思議な感動だった。

消灯時間である9時からは水分の摂取の禁止といよいよ点滴をする為の針が左腕に入れられました。さあて明日は手術だけど何だかいつもと同じにぐっすり眠れそう
大手術を前に私は心臓に毛が生えてきちゃったのだろうか(苦笑)

その⑦へ続く
by ikumiartcafe | 2010-09-06 16:23 | 私の闘病日記

アマチュアのイラストレーターです。主にアクリル画の作品が多く作品が出来上がるとショートストーリーも添えています。作品もたまってまいりました。


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